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お久しぶりです
↓久しぶりに更新は3の家康です
チカダテ前提ありな感じで進むと思いますので、家康が幸せにはならなそうです。
↓久しぶりに更新は3の家康です
チカダテ前提ありな感じで進むと思いますので、家康が幸せにはならなそうです。
美しい竜だった。
夢にさえ見た姿が、自分の目の前にあるのだ。
「で、お前の条件ってのはなんだ?」
自分の声は上擦ってはいないだろうか?家康は目を逸らしてしまいたくなるのを抑えて、政宗の隻眼を見つめた。
竜の眼差しは、何かを懐かしむように見えた。それが自分自身に都合の良い思い込みだと言うことは、家康にも十分過ぎるほど判っていた。だが、その瞳の色の不思議さは、今回も家康を惹きつけて止まなかった。
政宗の考えは、家康にも判っていた。今までの政宗であれば、同盟を言い出すようなことはなかった筈だ。
支配するか、蹴散らかすか……。
手痛い敗北を知って、竜は地に落ちた。
政宗を地に這わせた男は、自身の天下さえも望まない男だった。ただ一人、豊臣秀吉だけを頂くその男に敗北したことが、政宗を変えたのかも知れない。
家康はちりちりとした痛みを感じた。政宗にそれほどの影響を与えた男、政宗に決して忘れることのできない敗北を与えた男、石田三成を思うと家康の心中は穏やかではいられなくなる。
「対等でなければ、この話は無しだ」
政宗の落ち着いた声を聞いて、家康は我に返った。
政宗を前にすると、家康は常の自分でいる事が難しくなってしまう。この隻眼に、魅入られてしまうのだ。
「なんじゃ、条件とはそのような事か。ワシは最初からそのつもりじゃ。独眼竜はどういうつもりだったんだ?」
照れたように鼻の下を掻いた家康に、政宗は驚きを隠せなかった。
政宗にとって家康はまだまだ子供のような相手の筈だった。その家康に自ら同盟を持ちかけるような事は、以前の政宗であれば考えられない事だった。政宗の家老であり、常にともにあった小十郎でさえ俄には信じられない行動だった。
家康も驚いた筈だが、来る者は拒まずと言った度量の深さが今の家康にはあった。もとより、本多忠勝ほどの武将を従えていた家康だ、形は小さくともそれだけの懐の深さはあったのだろう。
「でかくなったのは、背だけじゃねぇな」
政宗は自分の固執していたものがなんだったのか、どこか馬鹿馬鹿しい事のように思えた。どちらが上なのか、どちらが優位なのか、目の前の男はそんな事は歯牙にもかけないと言った顔で政宗を見ていた。
「んん?何だって?なんて言ったんだ?」
政宗の声は勿論聞こえた家康だったが、面映ゆく思ったのか……、それとももう一度竜の美しい唇からその言葉を聞きたかったのか、聞こえない振りをした。
「何でもねぇよ」
だが、そう簡単に家康の思い通りになど政宗はならない。如何にも聞きたそうに目を輝かせる顔を前にして、繰り返してくれる筈もなかった。
「しばらく、駿河にでも逗留すれば……、もっと楽しい事も言ってやれそうだがな」
言った政宗も自分の言葉に驚いたようだったが、家康の方はこちらの言葉の方が信じられなかった。
「良いのか?ワシのところに参るのか?」
勢い込んで聞いてしまうような所は、以前のままと思える家康だった。
「くくっ……そんなに俺といたいのか?baby?」
思わず吹き出した政宗のからかうような声にも、家康は素直に頷いてしまった。
……まったく、大した人誑しだぜ……。これが秀吉を倒し、天下を統一しようと言う男なのか。政宗はまたまじまじと家康の顔を見た。
丸くふっくらとしていた頬は削げ、精悍で男らしい風貌になっていた。政宗の印象に残る子供の家康の顔とは全くの別物だったが、濃い眉の下で凛とした光を宿す眼は以前のままだった。
……かなわねぇな。
「ああ、この先の事もあるしな。とっくりと聞かせてもらいたい事もあるぜ」
せいぜいに凄みを効かせた目つきをした政宗だったが、家康は逸らすこともなくその隻眼を受け止めた。状況はいやと言うほど判っている。秀吉を倒したとは言っても、豊臣の残党は家康の首を狙っているのだ。殊に石田三成は、決して家康を諦める事はないだろう。それほどに三成の世界の全ては秀吉だったのだ。秀吉の側近くに暮らし、秀吉を敬い、秀吉を感じ、秀吉を呼吸していたと言っても過言ではない三成だった。……その秀吉を家康は奪ったのだ。未来永劫、三成は秀吉の命を受ける事はなくなったのだ。
秀吉の命じるままに生きること以外に、三成の生きた道はなかった。この先も永遠に秀吉の望むままに生きて行くと思っていた三成の未来を閉ざしたのは、家康に他ならなかった。
「まず手始めに何をする?」
一瞬の家康の表情の曇りを感じたのか、政宗が尋ねた。
「そうだなぁ……まずは、独眼竜にワシの領地を案内しよう」
物見遊山に行くわけではないと言々たそうな政宗に、家康は明るい笑顔を向けた。
……絆の下に集う者、その笑顔を家康は約束したかった。
夢にさえ見た姿が、自分の目の前にあるのだ。
「で、お前の条件ってのはなんだ?」
自分の声は上擦ってはいないだろうか?家康は目を逸らしてしまいたくなるのを抑えて、政宗の隻眼を見つめた。
竜の眼差しは、何かを懐かしむように見えた。それが自分自身に都合の良い思い込みだと言うことは、家康にも十分過ぎるほど判っていた。だが、その瞳の色の不思議さは、今回も家康を惹きつけて止まなかった。
政宗の考えは、家康にも判っていた。今までの政宗であれば、同盟を言い出すようなことはなかった筈だ。
支配するか、蹴散らかすか……。
手痛い敗北を知って、竜は地に落ちた。
政宗を地に這わせた男は、自身の天下さえも望まない男だった。ただ一人、豊臣秀吉だけを頂くその男に敗北したことが、政宗を変えたのかも知れない。
家康はちりちりとした痛みを感じた。政宗にそれほどの影響を与えた男、政宗に決して忘れることのできない敗北を与えた男、石田三成を思うと家康の心中は穏やかではいられなくなる。
「対等でなければ、この話は無しだ」
政宗の落ち着いた声を聞いて、家康は我に返った。
政宗を前にすると、家康は常の自分でいる事が難しくなってしまう。この隻眼に、魅入られてしまうのだ。
「なんじゃ、条件とはそのような事か。ワシは最初からそのつもりじゃ。独眼竜はどういうつもりだったんだ?」
照れたように鼻の下を掻いた家康に、政宗は驚きを隠せなかった。
政宗にとって家康はまだまだ子供のような相手の筈だった。その家康に自ら同盟を持ちかけるような事は、以前の政宗であれば考えられない事だった。政宗の家老であり、常にともにあった小十郎でさえ俄には信じられない行動だった。
家康も驚いた筈だが、来る者は拒まずと言った度量の深さが今の家康にはあった。もとより、本多忠勝ほどの武将を従えていた家康だ、形は小さくともそれだけの懐の深さはあったのだろう。
「でかくなったのは、背だけじゃねぇな」
政宗は自分の固執していたものがなんだったのか、どこか馬鹿馬鹿しい事のように思えた。どちらが上なのか、どちらが優位なのか、目の前の男はそんな事は歯牙にもかけないと言った顔で政宗を見ていた。
「んん?何だって?なんて言ったんだ?」
政宗の声は勿論聞こえた家康だったが、面映ゆく思ったのか……、それとももう一度竜の美しい唇からその言葉を聞きたかったのか、聞こえない振りをした。
「何でもねぇよ」
だが、そう簡単に家康の思い通りになど政宗はならない。如何にも聞きたそうに目を輝かせる顔を前にして、繰り返してくれる筈もなかった。
「しばらく、駿河にでも逗留すれば……、もっと楽しい事も言ってやれそうだがな」
言った政宗も自分の言葉に驚いたようだったが、家康の方はこちらの言葉の方が信じられなかった。
「良いのか?ワシのところに参るのか?」
勢い込んで聞いてしまうような所は、以前のままと思える家康だった。
「くくっ……そんなに俺といたいのか?baby?」
思わず吹き出した政宗のからかうような声にも、家康は素直に頷いてしまった。
……まったく、大した人誑しだぜ……。これが秀吉を倒し、天下を統一しようと言う男なのか。政宗はまたまじまじと家康の顔を見た。
丸くふっくらとしていた頬は削げ、精悍で男らしい風貌になっていた。政宗の印象に残る子供の家康の顔とは全くの別物だったが、濃い眉の下で凛とした光を宿す眼は以前のままだった。
……かなわねぇな。
「ああ、この先の事もあるしな。とっくりと聞かせてもらいたい事もあるぜ」
せいぜいに凄みを効かせた目つきをした政宗だったが、家康は逸らすこともなくその隻眼を受け止めた。状況はいやと言うほど判っている。秀吉を倒したとは言っても、豊臣の残党は家康の首を狙っているのだ。殊に石田三成は、決して家康を諦める事はないだろう。それほどに三成の世界の全ては秀吉だったのだ。秀吉の側近くに暮らし、秀吉を敬い、秀吉を感じ、秀吉を呼吸していたと言っても過言ではない三成だった。……その秀吉を家康は奪ったのだ。未来永劫、三成は秀吉の命を受ける事はなくなったのだ。
秀吉の命じるままに生きること以外に、三成の生きた道はなかった。この先も永遠に秀吉の望むままに生きて行くと思っていた三成の未来を閉ざしたのは、家康に他ならなかった。
「まず手始めに何をする?」
一瞬の家康の表情の曇りを感じたのか、政宗が尋ねた。
「そうだなぁ……まずは、独眼竜にワシの領地を案内しよう」
物見遊山に行くわけではないと言々たそうな政宗に、家康は明るい笑顔を向けた。
……絆の下に集う者、その笑顔を家康は約束したかった。
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