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拍手下さった方、ありがとうございます!
↓現パロコジュケイです。
↓現パロコジュケイです。
ぎりぎりと何かを噛締めるような音が耳について、慶次は夜中に目を覚ました。
頭の中に響く程の近くで聞こえた音は、小十郎の口の中からしているようだった。
……歯ぎしり…?……。目ぼけ眼だった慶次だが、小十郎の頬に浮いた脂汗に目が覚めた。引っ越しをしてからは、毎日帰っては来られなくなった小十郎と、久しぶりに一緒に眠ったのだが、慶次はこんな歯ぎしりは初めて聞いた。
歯ぎしりもストレスが原因になる事があると、慶次も聞いた事がある。小十郎が何か大変な状況にあるのかと思うと、自分も手伝える事は無いかと聞きたいのだが……。小十郎は自分の仕事の事に、慶次を関わらせないようにしている。
慶次が小十郎と知り合った切欠が切欠だ、心配をしてくれている事は分かっているが、慶次は寂しい。
そっと小十郎の頬を撫で、抱え込むように頭を抱くと歯ぎしりの音は少し小さくなった。
本当は何も隠さずに放して欲しかった。自分では争い事は好まないが、小十郎を守る為ならば慶次は誰とでも戦う覚悟はある。だが、小十郎の方が何も言ってくれなければ、慶次は何と戦えばいいのか判らない。政宗に尋ねても、きっと答えは同じなのだ。慶次には関係ない、そう言われるに決まっている。
……でも、…俺も小十郎さんの事知りたいよ……。
守られるだけでは、辛いのだ。始めてであった時は、慶次の事情で小十郎に守ってもらう立場だったが、今は対等とまで行かなくても守られるだけではいたくない。
小十郎の歯ぎしりがいつの間にか止んでいた。
慶次の腕の中で、小十郎は安らかな寝息を立てている。きつい眼光が見えない寝顔は、穏やかで少しだけ幼いように見えた。
……夢の中でも戦ってるなら、俺が守ってあげるからね……。
小十郎の額にキスして、慶次は強い髪に顔を埋めた。
政宗の組を実質的に切り盛りしているのは、若頭の小十郎だった。表だった抗争などは無いが、東北一帯を取り仕切る政宗は敵も多い。慶次を預かった事も、遠因ではあるが関西との関係は上手くはいっていない事も事実だった。
今も慶次は関西の巨大勢力、豊臣から狙われているかもしれないのだ。その事に関しても、政宗は家康から事情を聴いていたりも知るのだろうが、小十郎は詳しい事情を知らない。聞こうともしない事を、以前は寂しく思っていたが、小十郎は興味がないのでは無く慶次が話したくなるのを待ってくれているようなのだ。
……いつか、小十郎さんに話すからね……。自分の中でもまだ決着がついていない……。慶次は友人だと思っていた相手の豹変、淡く恋を覚えた人の喪失……、それをまだ慶次は自分の中でも消化しきれていない。
「…ん……」
慶次の腕の中で、小十郎が目を開いた。
「どうした…?」
心配そうな顔。小十郎の優しさを、慶次は知っている……。
「なんか、ぎゅってしたくなった…」
本当は、心の中の傷痕をごと吐き出せたら……。過去は過去と割り切る事も出来ず、まだ自分の中で傷は咆哮を上げている……。
声にして叫ぶ事が出来たら、慶次の傷も癒えるかもしれなかったが、まだ、それは外へと引き摺りだされる事を望んではいない。
「…ぎゅって、して…小十郎さん…」
小十郎の腕が慶次を抱き締めた。
力強い腕が、慶次を丸ごと抱き締める。
この腕の中でなら、傷の痛みも感じない……。慶次には初めて得られた安心感だった。
いつか、小十郎にも同じような安心を感じてもらいたい。慶次はそう思っていた。
「慶次…」
抱き締めた小十郎の声が、慶次の髪の中に零れた。
「あったけぇなぁ…」
慶次はこんな小十郎の声を聞いただけで、涙が零れそうになる。普段は強面を装う小十郎の、構えない素のままの声や言葉が、慶次には全て宝物だった。
「ふふ…俺も、あったかい…」
今はただ受け止める事さえも出来ない……。自分の中に残る傷も、どうする事も出来ない。
……いつか…いつかは来るよね……。
慶次は小十郎の背を抱き締めた。小十郎も、ただ慶次の体を抱き締めた。
頭の中に響く程の近くで聞こえた音は、小十郎の口の中からしているようだった。
……歯ぎしり…?……。目ぼけ眼だった慶次だが、小十郎の頬に浮いた脂汗に目が覚めた。引っ越しをしてからは、毎日帰っては来られなくなった小十郎と、久しぶりに一緒に眠ったのだが、慶次はこんな歯ぎしりは初めて聞いた。
歯ぎしりもストレスが原因になる事があると、慶次も聞いた事がある。小十郎が何か大変な状況にあるのかと思うと、自分も手伝える事は無いかと聞きたいのだが……。小十郎は自分の仕事の事に、慶次を関わらせないようにしている。
慶次が小十郎と知り合った切欠が切欠だ、心配をしてくれている事は分かっているが、慶次は寂しい。
そっと小十郎の頬を撫で、抱え込むように頭を抱くと歯ぎしりの音は少し小さくなった。
本当は何も隠さずに放して欲しかった。自分では争い事は好まないが、小十郎を守る為ならば慶次は誰とでも戦う覚悟はある。だが、小十郎の方が何も言ってくれなければ、慶次は何と戦えばいいのか判らない。政宗に尋ねても、きっと答えは同じなのだ。慶次には関係ない、そう言われるに決まっている。
……でも、…俺も小十郎さんの事知りたいよ……。
守られるだけでは、辛いのだ。始めてであった時は、慶次の事情で小十郎に守ってもらう立場だったが、今は対等とまで行かなくても守られるだけではいたくない。
小十郎の歯ぎしりがいつの間にか止んでいた。
慶次の腕の中で、小十郎は安らかな寝息を立てている。きつい眼光が見えない寝顔は、穏やかで少しだけ幼いように見えた。
……夢の中でも戦ってるなら、俺が守ってあげるからね……。
小十郎の額にキスして、慶次は強い髪に顔を埋めた。
政宗の組を実質的に切り盛りしているのは、若頭の小十郎だった。表だった抗争などは無いが、東北一帯を取り仕切る政宗は敵も多い。慶次を預かった事も、遠因ではあるが関西との関係は上手くはいっていない事も事実だった。
今も慶次は関西の巨大勢力、豊臣から狙われているかもしれないのだ。その事に関しても、政宗は家康から事情を聴いていたりも知るのだろうが、小十郎は詳しい事情を知らない。聞こうともしない事を、以前は寂しく思っていたが、小十郎は興味がないのでは無く慶次が話したくなるのを待ってくれているようなのだ。
……いつか、小十郎さんに話すからね……。自分の中でもまだ決着がついていない……。慶次は友人だと思っていた相手の豹変、淡く恋を覚えた人の喪失……、それをまだ慶次は自分の中でも消化しきれていない。
「…ん……」
慶次の腕の中で、小十郎が目を開いた。
「どうした…?」
心配そうな顔。小十郎の優しさを、慶次は知っている……。
「なんか、ぎゅってしたくなった…」
本当は、心の中の傷痕をごと吐き出せたら……。過去は過去と割り切る事も出来ず、まだ自分の中で傷は咆哮を上げている……。
声にして叫ぶ事が出来たら、慶次の傷も癒えるかもしれなかったが、まだ、それは外へと引き摺りだされる事を望んではいない。
「…ぎゅって、して…小十郎さん…」
小十郎の腕が慶次を抱き締めた。
力強い腕が、慶次を丸ごと抱き締める。
この腕の中でなら、傷の痛みも感じない……。慶次には初めて得られた安心感だった。
いつか、小十郎にも同じような安心を感じてもらいたい。慶次はそう思っていた。
「慶次…」
抱き締めた小十郎の声が、慶次の髪の中に零れた。
「あったけぇなぁ…」
慶次はこんな小十郎の声を聞いただけで、涙が零れそうになる。普段は強面を装う小十郎の、構えない素のままの声や言葉が、慶次には全て宝物だった。
「ふふ…俺も、あったかい…」
今はただ受け止める事さえも出来ない……。自分の中に残る傷も、どうする事も出来ない。
……いつか…いつかは来るよね……。
慶次は小十郎の背を抱き締めた。小十郎も、ただ慶次の体を抱き締めた。
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