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↓ひっそりとチカダテです……
「ただ寝てりゃいいんだよ」
政宗の居城に運ばれて、何人も薬師を呼ばれてすっかり回復した元親だったが……まだ、完全に身体の自由が利くわけでは無い。…しかも、今は尚更だ。
「怪我人になんて事すんだよっっ」
夜着を纏った元親、後ろ手に括られて柱に縛り付けられている。足も、胡座に組んだのを竹に括り付けられて閉じられないようにされている。
「Calm down!…大人しくしてりゃ……heavenに連れてってやるぜ……こちとら、angelじゃねーけどな」
緋色の襦袢を纏った政宗が、元親の足元にしゃがみ込んだ。
腰紐を解かれて、元親の顔が青褪めた。
「ちょ…わー!!ちょっと待て!!」
はだけられた胸元を、意外なほど細い政宗の指に撫でられて、元親大声を出した。鳥肌が立っている………。元親も子供の頃は愛らしかった。確かに幼少には色が白く内向的だった為に姫若子と呼ばれてもいたが……現在の元親は、とても姫には見えない。
「腹が割れてる男は好みだぜ……」
腹筋の上に政宗が口付ける。
「わーー!!やめろって!!」
「……あんまり騒ぐと……口も塞ぐぞ」
不機嫌そうな顔を上げた政宗、元親の頬を両手で挟んだ。
「いい子に出来たら…ご褒美もやるぜ…?」
「……ん!」
政宗に口付けられ、顔を逸らそうとしたが六爪を操る指だ、外す事は出来なかった。
……意外にやらけー……唇を合わせただけの口付け。言っている事に比べたら、随分と可愛らしい口付けだ。咄嗟に閉じた瞼を元親が上げると、政宗の伏せた隻眼の思いの他に長い睫がぼんやりと見えた。
元親の膝に乗り上げた政宗の腕が、首に回されて身体を預けるように抱きついて来る。ざらりと胸に当たるのは、政宗が纏った緋縮緬の襦袢だ。随分と色っぽい道具立てだが、きっちりと首元まで合わせられた襟を高く結んだ腰紐できっちりと結わえている。
「ふ……」
政宗の鼻から、小さな息が漏れた。
……何だよ……可愛いじゃねーか…………元親の唇に唇を重ねて、しがみつくように抱きついている政宗は、どこか幼いような印象を与えて可愛らしいとさえ思えた。だが……ここで絆されたら、大変な事になる。元親、姫と呼ばれた事はあっても、男と褥を共にした事は無い。緋襦袢の中で熱を持ち始めている政宗を受け入れる事になったら……どうなってしまうかと……腑甲斐ないと思いながら、恐いのと気味悪いので背中にまで鳥肌が立っている。
「口……開けて……」
政宗の唇が僅かに離れて、掠れたような声を出した。
絶対開けない………思っていた元親だが、瞼を上げた政宗の濡れたような瞳に、口を開けてしまった。
元親の唇を指でなぞりながら、政宗の唇の端が上がって小さな笑みが作られた。
「…enough………」
また、政宗が唇を合わせて柔らかい舌で元親の唇をなぞった。
……うあっ……ちょ……まず…………眼前には、うっすらと頬に朱を上らせている美貌。伏せられた眼差しのせいで、普段のきつさの見えない政宗の顔は、眼帯を割り引いても美しいと思えた。
……こんな美人…反則だろ……
元親の膝の上で腰を擦り付けるようにしているこの男は……否、男でも無いかも知れない………この不思議な生き物はなんだろう………元親、知らずに政宗の舌に自分のそれを搦めていた。口を濯いで来たのだろうか……政宗の口中は甘い香りがしている。
………こいつ……誰だ……?………
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