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ゲーム系ニ次創作です
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↓マサケイです。
 爪子さんの慶示板に投稿した物です。

 政宗にあてがわれた部屋に、珍しくまつが訪れた。
「体の具合はいかがですか」
 本来は情にも厚い女であろうが、政宗には敢えて感情を殺したような態度を続けている。それも無理は無い事、戦国の世にあって他家の当主を預かっておくなど考えられない。
「…ぼちぼちって……とこかな…?」
 もう普通に生活するには困らなくなっているが、政宗何ともここを離れ難くなっている。
 ---retaireには…はえーんだけどな……----本気で家督を誰かに譲る事などは考えてはいない。だが、ここは居心地が良かった。
「だ〜り〜ん!柿取って来たよー!」
 この脳天気な声の主が、政宗の戻りたく無い理由のほとんどだ。どんな風に育てばこんな男になるのか、人を疑うと言う事が無い。政宗がいい加減に教える事をいちいち真に受けて、律儀に従ってみせるのもガキ大将のような政宗の質に合う。
「柿…あっ!まつ姉ちゃん……」
 この男は陽気で可愛らしい。見た目の美しさだけでは無く、慶次の心根が幼く愛らしい。今も柿を抱えて飛び込んで来る様子はまるで子供。まつに睨まれてしゅんと小さく肩を窄めて見せるが、ちっとも小さくならない。
「…迎えを頼むならば、手紙は届けてあげます。一人で戻れるならば、馬を用意します。どちらにするか、返答が決まったらおっしゃいませ」
 慶次の事は黙殺したまま、まつが部屋を出て行った。
「……だーりん……帰んの…?」
 部屋の隅に座っていた慶次、そっと上目遣いに政宗を窺う。
「ん?」
 人さし指でちょいちょいと呼ぶ政宗に、慶次膝で這って近付いた。
「…行っちゃうの…?」
 菫色が淋しげな光を浮かべて覗き込む。
 ---こんなにcuteなのは…foul playだぜ……----政宗も、今までに色々な浮き名は流して来たが、男を可愛いと思ったのは初めての事。戸惑いはある。相手が男であれば、力量を計り腕を確かめ……倒す者ならば躊躇はしない。それが、奥州筆頭伊達政宗だった。だが、慶次にはそういった気持ちがおきない。身のこなしを見れば使い手であるのは知れる。舞を舞うように槍を操る姿も目にしている。……だが、刃を交える気持ちが起こらない。
「俺がいないと……淋しいか…?」
 すべすべの桃のような頬に手をあてると、慶次の瞳が揺らいだ。
「あんたが…そんな顔するから……kissしたくなるんだろ…?」
 啄むように唇を重ねると、びくりと後退りそうになった慶次の身体が踏み止まった。
 政宗の指が慶次の襟を掴んで引き寄せる。逆らえば逆らえる慶次だが、政宗には逆らう気になれない。慶次にしたところで、衆道の習いはない。何故、これほど政宗に惹かれるのかわからない。
「んんっ……」
 引寄せられて、胸の中に抱かれて、口付けが深くなった。唇を甘く嚼まれ、舌先でなぞられて慶次の息が熱くなる。
「口、開けてみな。……目は閉じるんだぜ?」
 一旦唇を離した政宗、ぼんやりとした目を向ける慶次に言った。
「あー」
 何か食べ物でも貰うつもりか、慶次が大口を開けて目を閉じた。
「こんなに開かねぇーよ」
 くすりと笑う政宗の気配に、慶次頬が熱くなった。---馬鹿にしてる……---からかうように慶次を扱う政宗にむっとしながら、目を開けると……驚くほど近くに政宗の顔があった。
 ---うわぁ……綺麗な目……---政宗の一つ目は、深い海の底のようで、高い秋の空のようで……なんで、こんなに綺麗で……悲しそうなんだろう…………慶次の胸がちくりと痛んだ。
「…light,そんなとこだな」
 薄く開いた唇を、また政宗に吸われた。
「ふ……んん………」
 唇の内側を舌でなぞられると、背筋が震えた。むずむずとするくすぐったさに、目を閉じたまま政宗に縋り付いた。身体がふわふわと浮き上がりそうで、今までに政宗がした口付けとはまったく違った。
 じっと政宗に縋り付いて口付けられていた慶次、自分の顔の上にぽつりと落ちた雫に瞼を上げた。
 ---……なんで…?なんで、泣いてるの…?---政宗の隻眼から溢れる透明な煌めきが、慶次の顔に降っている。
「……darin'なんて…名前じゃねーよ…」
「え…?」
「darin'は、恋人、いい人を呼ぶ言葉だ」
「え…ええええぇぇぇ!?」
 今まで何度も政宗を『だーりん』と呼んでいた慶次、真っ赤になった。
「kissも挨拶なんかじゃねーよ…」
「なっ………」
 ---からかわれた……---抱き寄せていた政宗を突き飛ばして、慶次立ち上がった。
「俺の事からかって面白かった?!……俺……友達になれると思ってたのに!!」
 真っ赤な慶次の頬にも、涙が零れていた。悔しかった。政宗の言う事を信じて、自分だけが友達と思っていたのかと、慶次悔し涙が溢れた。
 ……初めて見た時から、この目に惹かれた。血塗れで倒れていた政宗、弱っている身体とは別物のように強い光を持った眼。……惹かれていたのは、自分だけなのかと…政宗にとっては暇つぶしでしか無かったのかと……慶次泣きながら言い募る。こんな事を言っても惨めになるばかりなのは判っているのに……悔しくて堪らない。
「俺は…友達になりたいと思わない」
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