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↓マサケイです。
爪子さんの慶示板に投稿した物です。
爪子さんの慶示板に投稿した物です。
政宗の言葉に、慶次の顔がぐしゃぐしゃに歪んだ。
「うーっ……」
もう、何も言葉にならないようにただ唸っている慶次を、政宗見ている事が出来ない。
畳にはらはらと散っているのは桜の花びら。涙と同じように、慶次の回りに桜が散っている。
胸が痛くて……二人とも、胸が痛くてただ涙を零している。
「だ……あんたなんかっ!だいっきらいっ!!」
この場に隠る息苦しさに耐え切れずに叫んだ慶次、襖を倒して部屋を出て行った。
慶次の走り去る足音に目を上げた政宗だが……追う事は出来なかった。
「……cannot help……俺だって……」
政宗の拳が畳を力任せに打った。根太が歪んで畳がめり込むほどの力だった。
それくらい身体は回復しているのだ。もう、傷の痛みもほとんど感じない。痛いのは、慶次に大嫌いと言わせた胸だった。
「……さらっちまえるなら……やってるんだよ!」
後はしゃくりあげる音だけになった。
これは、恋だ………。
友情ならば、世話になった礼を言って、またどこかで…と手放してやる事が出来る。奥州に帰ってから、素性を明かし遊びに来いと誘う事も出来る。だが……政宗の思いは友情ではない。きれい事だけで済ませられるほど老成もしていない。………このままここに留まれば、いつか慶次の心を裏切ってしまう。
『友達だと思ってたのに』…慶次はそう言った。キスにしたところで、騙してさせていたのだ。
「俺は……summer canpなんてのは、やなんだよ……」
蹲ったまま、涙と鼻水に汚れた顔で政宗が呟く。……同年代の友達は持った事がなかった。同じ年頃の男はrivalだ……どちらが強いか……それしか興味はなかった。こんなに、ただ一緒にいたいと思った相手はいなかった。仮初めに友情を繋いで、それではと別れられるほど、政宗は大人ではなかった。
騙して口付ける度に、確信は深くなった。慶次を恋しいと思う気持ちが深くなった。上辺の友達付き合いで誤魔化すなんて無理だ……。
政宗が恋を告げる事など出来ない。名乗る事も出来ないまま、恋を語る事など出来ない。政宗、慶次と遊びたいのではない。あの菫色に捕らわれていた。突然舞い降りた天使。政宗にとっての慶次はまさにそれだったのだ。
蹲った政宗の目の前に慶次が散らして行った花びらがある。それを拾い集めて…腕に囲えるだけ拾い集めて抱き締めた。
---最初から解ってたよ……俺はheavenになんか行けやしないって……俺は…俺の手は……---それでも抱き締めた花びらを離せない。花びらに縋ってただ泣く事しか出来ない。
どれほどそうしていただろうか……、昼の日射しの翳った部屋の中で、政宗立ち上がった。
袖で顔を拭って、上げた顔はもう涙の跡もなかった。
---帰ろう……俺には俺の生きる場所がある………----
ざっと見回して、身繕いするとまつの部屋に向かった。
---馬を借りれば戻る事は出来るだろう……小十郎に迎えを頼めば大袈裟な事になりかねない……---馬を返す折に礼をする事にして、迎えは呼ばない事に決めた。本当は、こんなに長逗留になるなら小十郎に連絡しなければならなかった。今もきっと小十郎達は血眼になって政宗を探しているはずだ。たぶん、この近くに陣も張ったままだろう。---annihilationしてなけりゃな……---ここに来てから、一度も小十郎達の事を心配しなかった自分の薄情に驚いた。今までの政宗には、小十郎を始め家臣は家族だった。その家族の事を考えなかったのは……政宗の中は慶次で一杯だったから………。慶次の記憶を除いたら、政宗はからっぽになってしまうほど、政宗の中は慶次で溢れていた。政宗の使う言葉を覚えようと、舌足らずに繰り返す慶次。政宗を見て嬉しそうに微笑む瞳。口付けた唇の甘さ……。
その全てを諦めて捨てなければならない……。政宗が回復し始めて、色々と話すうちに慶次が戦を嫌っている事も知った。特に、天下を賭けてなどといった覇権の争いを憎んでさえいる事も分かった。自分の生き方と慶次の生き方は重なる事はない。慶次と…もしも、慶次と共にいる事が叶ったとしても、戦に出る政宗は慶次を悲しませる事になる。だが……政宗も国を捨てる事は出来ない。今まで付き従ってくれた家臣達を裏切る事は出来ない。
---重ならないdestiny……初めからわかってたさ……----
襖の外でまつに声をかけた政宗の顔は、もう、慶次の『だーりん』ではない。
奥州筆頭伊達政宗。独眼竜の顔しかなかった。
「うーっ……」
もう、何も言葉にならないようにただ唸っている慶次を、政宗見ている事が出来ない。
畳にはらはらと散っているのは桜の花びら。涙と同じように、慶次の回りに桜が散っている。
胸が痛くて……二人とも、胸が痛くてただ涙を零している。
「だ……あんたなんかっ!だいっきらいっ!!」
この場に隠る息苦しさに耐え切れずに叫んだ慶次、襖を倒して部屋を出て行った。
慶次の走り去る足音に目を上げた政宗だが……追う事は出来なかった。
「……cannot help……俺だって……」
政宗の拳が畳を力任せに打った。根太が歪んで畳がめり込むほどの力だった。
それくらい身体は回復しているのだ。もう、傷の痛みもほとんど感じない。痛いのは、慶次に大嫌いと言わせた胸だった。
「……さらっちまえるなら……やってるんだよ!」
後はしゃくりあげる音だけになった。
これは、恋だ………。
友情ならば、世話になった礼を言って、またどこかで…と手放してやる事が出来る。奥州に帰ってから、素性を明かし遊びに来いと誘う事も出来る。だが……政宗の思いは友情ではない。きれい事だけで済ませられるほど老成もしていない。………このままここに留まれば、いつか慶次の心を裏切ってしまう。
『友達だと思ってたのに』…慶次はそう言った。キスにしたところで、騙してさせていたのだ。
「俺は……summer canpなんてのは、やなんだよ……」
蹲ったまま、涙と鼻水に汚れた顔で政宗が呟く。……同年代の友達は持った事がなかった。同じ年頃の男はrivalだ……どちらが強いか……それしか興味はなかった。こんなに、ただ一緒にいたいと思った相手はいなかった。仮初めに友情を繋いで、それではと別れられるほど、政宗は大人ではなかった。
騙して口付ける度に、確信は深くなった。慶次を恋しいと思う気持ちが深くなった。上辺の友達付き合いで誤魔化すなんて無理だ……。
政宗が恋を告げる事など出来ない。名乗る事も出来ないまま、恋を語る事など出来ない。政宗、慶次と遊びたいのではない。あの菫色に捕らわれていた。突然舞い降りた天使。政宗にとっての慶次はまさにそれだったのだ。
蹲った政宗の目の前に慶次が散らして行った花びらがある。それを拾い集めて…腕に囲えるだけ拾い集めて抱き締めた。
---最初から解ってたよ……俺はheavenになんか行けやしないって……俺は…俺の手は……---それでも抱き締めた花びらを離せない。花びらに縋ってただ泣く事しか出来ない。
どれほどそうしていただろうか……、昼の日射しの翳った部屋の中で、政宗立ち上がった。
袖で顔を拭って、上げた顔はもう涙の跡もなかった。
---帰ろう……俺には俺の生きる場所がある………----
ざっと見回して、身繕いするとまつの部屋に向かった。
---馬を借りれば戻る事は出来るだろう……小十郎に迎えを頼めば大袈裟な事になりかねない……---馬を返す折に礼をする事にして、迎えは呼ばない事に決めた。本当は、こんなに長逗留になるなら小十郎に連絡しなければならなかった。今もきっと小十郎達は血眼になって政宗を探しているはずだ。たぶん、この近くに陣も張ったままだろう。---annihilationしてなけりゃな……---ここに来てから、一度も小十郎達の事を心配しなかった自分の薄情に驚いた。今までの政宗には、小十郎を始め家臣は家族だった。その家族の事を考えなかったのは……政宗の中は慶次で一杯だったから………。慶次の記憶を除いたら、政宗はからっぽになってしまうほど、政宗の中は慶次で溢れていた。政宗の使う言葉を覚えようと、舌足らずに繰り返す慶次。政宗を見て嬉しそうに微笑む瞳。口付けた唇の甘さ……。
その全てを諦めて捨てなければならない……。政宗が回復し始めて、色々と話すうちに慶次が戦を嫌っている事も知った。特に、天下を賭けてなどといった覇権の争いを憎んでさえいる事も分かった。自分の生き方と慶次の生き方は重なる事はない。慶次と…もしも、慶次と共にいる事が叶ったとしても、戦に出る政宗は慶次を悲しませる事になる。だが……政宗も国を捨てる事は出来ない。今まで付き従ってくれた家臣達を裏切る事は出来ない。
---重ならないdestiny……初めからわかってたさ……----
襖の外でまつに声をかけた政宗の顔は、もう、慶次の『だーりん』ではない。
奥州筆頭伊達政宗。独眼竜の顔しかなかった。
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