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ゲーム系ニ次創作です
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↓コジュマサです。
 小十郎は苦労人ですよ、きっと。

 政宗のマンションが学校から遠いのには理由があった。

 私立婆娑羅学園では、独身の教師の寮を完備している。
 寮とは言っても学校の敷地に隣接した場所に建つ2LDKのマンションである。しかも、家賃はほとんどタダ、僅かな管理費を払うだけだ。大抵の教師はここに住んでいるのだが、政宗ともう一人の体育教師はここに住んでいない。朝のラッシュ時に、1時間半もかけて電車に揺られて来るのには、理由がある。

「……はぁ……」
 体育教師片倉はもう何度目になるか解らない溜息を吐いた。
 今日は日曜日。午後11時を回ったあたりだ。金曜の晩から、玄関のドアを眺めては溜息を吐いている。
 ……いっそ、休みがなければいい………週休二日、ここに住み始めてすぐの頃はそれが待ち遠しくて仕方なかった。………そうなのだ。政宗と片倉は同棲している。これが、学校から遠い所に住む理由だ。いかに男同士とはいえ、一緒に住んでいるのが学校に知れるのはまずいと思い、離れた所を選んだのだ。
 同棲から三ヶ月、そこまでは片倉の人生最大のバラ色期間だった。ずっと思いを寄せていた政宗から一緒に住んでもいいと言われ……週末はベッドから出ないまま暮らすような三ヶ月……、本当に週末が待ち遠しかった。金曜の晩はハッテン場ではない落ち着いた店でゆっくりと食事をして、家に戻れば政宗と1ミリも離れないでいられた。
「……はぁ……」
 それが、何故ドアを見詰めて溜息かと言えば………。
 三ヶ月を過ぎてからは政宗が金曜から外泊するようになったからだ。
 2回までは片倉も何も聞かなかった。ウィークディには一緒にいられたし、その間仕事を理由に片倉を拒む政宗ではない。何か用事があるのだろうと黙っていた。
 3回目に、泥酔して帰った政宗に問いただそうとしたのだが、服を脱がせた政宗の体中に散るキスマークに言葉を無くした。無理に聞けば、きっと鬱陶しいと怒らせる。パジャマを着せた政宗をベッドに寝かせて、その晩はリビングのソファで眠った。漠然と思っていた事だが、政宗の口から浮気を聞くのは恐かった。…まして、浮気ではなく本気とでも言われたら、自分が何をしでかすか片倉にも解らない。
 聞くのはやめよう………。別れる事は考えられない。自分さえ黙っていれば、政宗はここを出て行く事はないだろう。結局は何度も悩みながら結論はそこに行ってしまうのだ。

 今日は帰らないつもりか………。ダイニングのテーブルの上の食器を片付けながら、また片倉の口を吐いたのは溜息だった。
 ……こんなに惚れ込んでいるのは自分だけなのだろうか……政宗は決して真面目とは言えない恋愛を好む。不倫も二股も何でもありのようなところがある。それは、最初から知っていたし、政宗を縛り付けようとは思わなかった。だが、淋しくはある。学校のある日は校外で待ち合わせて一緒に帰ったり、今もそれほど冷めた関係とは言えないのだが……。
 ダストシュートに政宗の夕食を捨てていると、玄関で派手な音がした。
「Hi……I'm home」
 玄関で靴も脱がない政宗が倒れていた。
「……伊達先生………」
 その場に眠り込んでしまいそうな政宗の靴を脱がせ、コートを脱がせようとした片倉の手が止まった。
「……あんた……」
 長いコートの下のスーツは原形を留めないほど切り裂かれている。布の裂け目から覗く肌には、縛られてでもいたのか、紅く擦れたような傷があった。
「I'm sure…ゴムは付けさせたから、ビョーキの心配はねーよ……流石に4Pは初めてだったけどな」
 片倉の手が政宗を抱え上げた。肩に担がれた政宗は、舌を噛まないように黙るしかなくなった。
 バスルームのタイルの上に降ろされて、申し訳程度に残っている服を剥ぎ取られる間も、政宗は黙って片倉の手を見ている。酔っぱらっているのか、話す気もないのか。片倉も黙っている政宗が気になるが、それ以上に怒りが勝っている。
 裸に剥かれた政宗の肌は縄目の跡がくっきりと残っている。
 シャワーのコックを捻って熱い湯を浴びせながら、片倉も服を着たままその水飛沫の中に入った。黙って湯を浴びせられていた政宗の喉が鳴った。
 政宗の上にのしかかった片倉の手が、膝に手を掛けて乱暴に押し開いた。
「馴らすまでもないでしょう」
 いきなり後肛に指を突き入れられて、背中を丸めた政宗が片倉に縋り付こうとする。その政宗の胸を片倉の手が突き飛ばして、床に押さえ付ける。
「はっ!あああっ!」
 抉るように指を動かされて、政宗の背中が跳ね上がった。
 指先の伝える感触で、中には何も残されていないのは解っていても、政宗の中を掻き出すような動きを止めない片倉。
「こじゅ……小十郎っ……やだっ…指……小十郎!」
 声を上げる政宗の口の中にシャワーの湯が流れ込んで、咳き込み始めるが片倉は手を止めない。
 仰け反った政宗が吐精するまで、片倉は指で抉るのを止めなかった。
「……お前……怒ってる……?」
 シャワーの下に放り出された身体を起こしもせずに政宗が尋ねた。
「怒ってるに決まってるだろう!」
 片倉の拳がバスルームの壁を力任せに殴った。
「やっと、怒ったか……」
 だらりと下がっていた政宗の手が、片倉に差し出された。
「やっぱりな……怒ってるお前って……so,cool………」
 やはり、政宗を放っておく事の出来ない片倉が政宗を抱き起こすと、耳元に囁かれた。
「jealousyは…spiceにぴったりだろ?」
 くすくすと笑い出す政宗に、片倉も身体の力が抜けた。シャワーコックの下に二人でへたり込んでしまっても、政宗は笑うのを止めない。
「未だに『伊達先生』なんて呼びやがるし……ちょっといいだろ?こういうの」
 もう、怒る気も無くなった。
 最初から政宗がどんな男なのかは知っていた。それでも惹かれたのだから……しょうがない………。

 くすくすと笑い続ける政宗の身体を抱き締めて……やはり、週末は溜息ばかりの片倉だった。
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