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ゲーム系ニ次創作です
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↓以前、他所の掲示板に投稿していたものです。
 慶次はお料理下手だと可愛いv

「野郎ども、いただきやがれ!」
「いただきま~す!!!!」
 今日も伊達家臣は政宗のお手製のお昼ご飯にありついている。意外な事に政宗料理好き。城に常駐する者達や、通って来る者の為に毎日昼食を用意している。その日の人数にもよってだが、少人数の時には身分に関わらず昼から宴会膳が出て来たり、大人数の時には庭に大鍋を出しての芋煮を始めたりとバリエーションも豊富。そして、それが何を出しても玄人裸足、味も良ければ見た目も美しい。これを目当に毎日出仕する者もある。小十郎は昼飯が目当と言う訳では無いが、執政の職務上毎日出仕している。
 政宗、ふと気になって辺りを見回したが、小十郎の姿が見当たらない。思えば、この何日か昼時になると小十郎の姿が無い。
「Hey,小十郎を見なかったか?」
 昼飯に熱中する家臣達に尋ねてみるが、誰も知らないと言う。
 ……誰も知らないとなると、急に気になりだす。
 政宗にとって小十郎は無くてはならない片腕、否片目である。食事に現れないくらいと、放っておく事は出来ない。

 城内を彼方此方と探していると、離れの座敷の縁側に目当の姿。
「小十郎!What are you doin…g………」
 駆け寄った政宗、一瞬言葉につまった。
 縁側に腰掛けた小十郎の膝に腹ばいに寝転んだ慶次が乗っている。……それだけなら、スキンシップの激しい傾奇者、いつもの事だが………その慶次が、重箱から箸で摘まみ上げた物を、まさに今食べようと小十郎が大口を開けているのだ………。目を疑った。伊達家執政……強面の鬼家老……その小十郎が、『あ~ん』と口を開けたまま固まっているのだ。
 言葉に詰まった政宗、吹き出した。
「なんだ?小十郎。愛妻べんと…………」
 笑いながら重箱を覗き込んだ政宗、また言葉に詰まった。
「……てめぇ…うちの小十郎になんて物喰わせてやがる!!」
 今度は怒りだした。
「なんだよ~!俺、毎朝頑張ってるんだから!」
 慶次も、むっとしながら小十郎の膝から起き上がった。
「小十郎を殺す気か?……これは何だ?」
「うなぎだよ。梅干しと一緒に串に刺すとかわいいだろ?」
 ……鰻とは、言われてみなければ解らないぶつ切りの黒焦げと梅干しが交互に串に刺してある。
「…Bull sit!!…鰻と梅干しの食い合わせは良くねぇんだよ!大体の男は過敏性大腸だ!こんな食い合わせで腹でも壊したらどうすんだよ!」
「…筆頭……」
「俺うなぎと梅干し喰っても腹なんか壊した事ないもん!」
「てめぇみてぇなgluttonと一緒にすんじゃねぇよ!……次はこれだ、これはなんだ?」
 政宗が指差したのは、何種類かの茸の炊き合わせだった。
「見れば解るだろ?なめこだよ!」
 自信満々に答える慶次に、政宗頭を抱えた。
「…Jesus……いいか?これは、ベニテングタケ…こっちはタマゴタケモドキ……死なねぇかも知れねぇが、無事じゃいねぇな……」
「…え…?」
 これには慶次もしゅんとして黙った。
「小十郎さん……ごめんね……俺……」
「……いや……その……頑張ってくれてんのは、分かってる…」
 しょんぼりと謝る慶次の頭を、小十郎の手がくしゃくしゃと撫でた。
「でも……でも、俺が作ったもんで小十郎さんに何かあったら……俺……」
 小十郎の気遣いに慶次増々小さくなる。
「何も無かったんだ。いいじゃねぇか?な?」
「小十郎さぁん……」
 政宗がいるのも忘れて、慶次に抱きつかれて頭を撫でたり額にキスしたりと宥めていた小十郎だが……政宗から出るバサラゲージ満タンなオーラにはっとして顔を上げた。
「筆頭……」
「良かねぇ!!慶次!来い!!」
 小十郎から引き剥がされた慶次、襟首を掴まれて引き摺られて行く。
「今日からみっちり俺が仕込んでやる。うちの大事な小十郎に喰わせるんだ、半端な物じゃ勘弁出来ねぇからな」
 ぎゃあぎゃあ騒いで逃げようとする慶次だが、政宗の覚悟の方が上らしい、ずるずると厨に向かって引き摺られている。
「奥州筆頭伊達政宗、直々のcrash courseだ。有り難く受けやがれ!」
 言い出したら聞かない政宗だ、逆らっても無駄なのは分かっている。……それに、小十郎、慶次の怒力は認めるが決してお世辞にも旨いと言えない物を何日も食べ続け、腹具合も心配になった頃。
 ……少し、筆頭に躾けていただくか………
 妥協は許さない政宗だ、料理修行は厳しい物になるだろう。
 ……その分、俺が甘やかしてやるか………
 甘やかされているのは、どっちだか……見送る小十郎の蕩けそうな笑顔は、きっと慶次しか知らないもの。
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