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↓チカダテです。
政宗←家康風味。
家康はいい奴ですね。外伝の最終章は泣かせます。
政宗←家康風味。
家康はいい奴ですね。外伝の最終章は泣かせます。
「…ただかつ……」
「おいおい、坊ちゃん。船酔いで天下無双戦国最強の本多忠勝呼ぶつもりかよ」
甲板に這った家康を見下ろして、元親がからかうような声を出した。
「普通は船酔いするもんだろ。大丈夫か?」
意外にも政宗が這い蹲った家康を抱き起こした。
「寝ちまわない方が楽なんだぜ」
艫に寄りかからせて、政宗が家康の肩を支えた。
「生まれた時から波に揺られてたような奴と違って、俺たちゃdelicateだからな」
……政宗の肩に寄りかかると、なんとも言えずに甘いような花のような香がした。
……いい匂いがする……。ぐらぐらと揺れる頭も、絶え間なくあった吐き気も、家康から遠ざかった。
「うおっ!家康!何してやがる!そこで寝んのは俺だけなんだよ!」
政宗に寄りかかって、うつらうつらとしている家康の腕を元親が掴んだ。
「ばか、何騒いでんだよ。あんたにはspecial seatがあんだろ?」
にやりと笑って政宗が膝を叩くと、飼い主に呼ばれた犬のような顔になった元親がその膝に頭を乗せた。
政宗の膝の上に仰向けに寝そべった元親の目が、昼の陽射しの強さに細められた。
「海鳥が多いな…晩飯でも釣るか?」
今にも釣竿を取りに行きそうな元親の髪を、政宗の指が撫でた。
「少しじっとしてやがれ。…あんた、俺の膝が不満か?」
「不満がどこにあるよ?…ついでに口も吸ってくれりゃ、もっといいけどよ」
「人前でサカるmonkeyじゃねーからな」
それでも、人差し指に口付けて、そっとその指で元親の唇に触れた。……船酔いと眠気で朦朧とはしているが、この会話は全部家康に聞こえているのだ。
……これがあの六爪を操る伊達政宗なのだろうか……。鎧兜を取り去った体は男としては華奢でさえあった。指先の優しさは、武将とは思えないほどだ。…何よりも、その美貌に驚いてもいたのだが、……それ以上に、元親に見せる態度の可愛らしさは反則と言ってよかった。きっと、陸奥を訪れたのが家康一人であれば、こんな政宗は見る事は出来なかっただろう。
「こら…俺の指食うな」
くすくす笑う声が元親を窘めているようだが、甘える響きの強い声に、思わず家康が立ち上がった。
「おい、大丈夫か?」
「…うん。少し舳先に行って来てみる」
心配する政宗の声に振り返れなかった。たぶん…後ろから見ても真っ赤になった耳は見えているのだろう。
「坊っちゃんよう。なるべく遠くを見るんだぜ」
「わかった」
元親もからかってはいるが、気遣ってくれているのだ。…だが、この場にいるのはひどい疎外感を感じる。そんな空気には慣れているつもりだった。今は家康を支える家臣と共にあるが、人質としての暮らしの長い家康だ。居心地の悪い場所には慣れていると思っていた。
……居心地が悪いんじゃねぇ……。舳先で遠く水平線を眺める家康の脳裏には、政宗の濡れた様な隻眼があった。居心地は頗る良いのだ。ただ、政宗と元親の醸しだす空気の甘さが、家康の胸には苦い。
胸に蟠る苦さは、なんなのだろう……。
ぼんやりと見る水平線に海鳥が群れて飛んでいる。陽射しに翼を輝かせ、海鳥が飛んでいる。
「鳥はいいよな。生まれ変わるなら、俺は鳥がいい」
気配も無く隣に立っていた政宗の声に、家康の心臓が跳ね上がった。
「これ、噛んでみな」
政宗が差し出したのは何かの草の葉のようだった。
「ほら、騙されたと思って、…まぁ、騙しゃしねぇけど」
薄らと産毛の生えた黄緑色の葉を抓んだ政宗の指先。長く形の良い爪は何か手入れをしているのだろうか、艶々と光っている。
「あーん、だよ。口開けろ」
じっと政宗の指に見入っていた家康の顎を捉えると、政宗の指が草の葉ごと家康の口の中に入ってきた。
つん、と冷たいような不思議な感覚が口の中に起こった。恐る恐る噛んでみると、辛いようなすぅっとした香りが口中に広がった。
「小十郎が育ててるherbだよ。頭の痛ぇ時とかに噛むんだけどよ。すっきりすんだろ?」
口の中に広がる清涼感。…草の苦味のようなものはあるが、噛むごとに香りが強くなって頭がすっきりとする。
「うん。旨くはねぇがさっぱりするな」
飲み込んでしまうと、後味に残った香りが後を引いた。
「だろ?」
にっ、と口の端をあげた政宗を見て、後を引く理由が家康にもなんとなく判った。
政宗に似ているのだ。口当たりが良いわけではない。どちらかと言えば旨い物ではない。だが、不思議な香りの後に残る甘さまでが、政宗を思い起こさせた。
甘くは無い。
けれど、もう一度欲しくなってしまう家康だった。
「おいおい、坊ちゃん。船酔いで天下無双戦国最強の本多忠勝呼ぶつもりかよ」
甲板に這った家康を見下ろして、元親がからかうような声を出した。
「普通は船酔いするもんだろ。大丈夫か?」
意外にも政宗が這い蹲った家康を抱き起こした。
「寝ちまわない方が楽なんだぜ」
艫に寄りかからせて、政宗が家康の肩を支えた。
「生まれた時から波に揺られてたような奴と違って、俺たちゃdelicateだからな」
……政宗の肩に寄りかかると、なんとも言えずに甘いような花のような香がした。
……いい匂いがする……。ぐらぐらと揺れる頭も、絶え間なくあった吐き気も、家康から遠ざかった。
「うおっ!家康!何してやがる!そこで寝んのは俺だけなんだよ!」
政宗に寄りかかって、うつらうつらとしている家康の腕を元親が掴んだ。
「ばか、何騒いでんだよ。あんたにはspecial seatがあんだろ?」
にやりと笑って政宗が膝を叩くと、飼い主に呼ばれた犬のような顔になった元親がその膝に頭を乗せた。
政宗の膝の上に仰向けに寝そべった元親の目が、昼の陽射しの強さに細められた。
「海鳥が多いな…晩飯でも釣るか?」
今にも釣竿を取りに行きそうな元親の髪を、政宗の指が撫でた。
「少しじっとしてやがれ。…あんた、俺の膝が不満か?」
「不満がどこにあるよ?…ついでに口も吸ってくれりゃ、もっといいけどよ」
「人前でサカるmonkeyじゃねーからな」
それでも、人差し指に口付けて、そっとその指で元親の唇に触れた。……船酔いと眠気で朦朧とはしているが、この会話は全部家康に聞こえているのだ。
……これがあの六爪を操る伊達政宗なのだろうか……。鎧兜を取り去った体は男としては華奢でさえあった。指先の優しさは、武将とは思えないほどだ。…何よりも、その美貌に驚いてもいたのだが、……それ以上に、元親に見せる態度の可愛らしさは反則と言ってよかった。きっと、陸奥を訪れたのが家康一人であれば、こんな政宗は見る事は出来なかっただろう。
「こら…俺の指食うな」
くすくす笑う声が元親を窘めているようだが、甘える響きの強い声に、思わず家康が立ち上がった。
「おい、大丈夫か?」
「…うん。少し舳先に行って来てみる」
心配する政宗の声に振り返れなかった。たぶん…後ろから見ても真っ赤になった耳は見えているのだろう。
「坊っちゃんよう。なるべく遠くを見るんだぜ」
「わかった」
元親もからかってはいるが、気遣ってくれているのだ。…だが、この場にいるのはひどい疎外感を感じる。そんな空気には慣れているつもりだった。今は家康を支える家臣と共にあるが、人質としての暮らしの長い家康だ。居心地の悪い場所には慣れていると思っていた。
……居心地が悪いんじゃねぇ……。舳先で遠く水平線を眺める家康の脳裏には、政宗の濡れた様な隻眼があった。居心地は頗る良いのだ。ただ、政宗と元親の醸しだす空気の甘さが、家康の胸には苦い。
胸に蟠る苦さは、なんなのだろう……。
ぼんやりと見る水平線に海鳥が群れて飛んでいる。陽射しに翼を輝かせ、海鳥が飛んでいる。
「鳥はいいよな。生まれ変わるなら、俺は鳥がいい」
気配も無く隣に立っていた政宗の声に、家康の心臓が跳ね上がった。
「これ、噛んでみな」
政宗が差し出したのは何かの草の葉のようだった。
「ほら、騙されたと思って、…まぁ、騙しゃしねぇけど」
薄らと産毛の生えた黄緑色の葉を抓んだ政宗の指先。長く形の良い爪は何か手入れをしているのだろうか、艶々と光っている。
「あーん、だよ。口開けろ」
じっと政宗の指に見入っていた家康の顎を捉えると、政宗の指が草の葉ごと家康の口の中に入ってきた。
つん、と冷たいような不思議な感覚が口の中に起こった。恐る恐る噛んでみると、辛いようなすぅっとした香りが口中に広がった。
「小十郎が育ててるherbだよ。頭の痛ぇ時とかに噛むんだけどよ。すっきりすんだろ?」
口の中に広がる清涼感。…草の苦味のようなものはあるが、噛むごとに香りが強くなって頭がすっきりとする。
「うん。旨くはねぇがさっぱりするな」
飲み込んでしまうと、後味に残った香りが後を引いた。
「だろ?」
にっ、と口の端をあげた政宗を見て、後を引く理由が家康にもなんとなく判った。
政宗に似ているのだ。口当たりが良いわけではない。どちらかと言えば旨い物ではない。だが、不思議な香りの後に残る甘さまでが、政宗を思い起こさせた。
甘くは無い。
けれど、もう一度欲しくなってしまう家康だった。
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