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ゲーム系ニ次創作です
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↓最後にちょっと、コジュケイになりました(^^;)
 おばあちゃんと猫ばっかり書いていた気が………

 しゃくり上げながらリビングに行ってみると、ラブチェアに腰掛けた小十郎が子猫にミルクを飲ませていた。
「こら…噛まずに飲め」
 ゴムの飲み口を噛んでいる一匹を、撫でる指先が柔らかく優しい。
「慶次、こっち来い」
 手招きされて、隣をぽんぽんと叩かれた。
「…うん……」
 大きな図体の男が二人、ショッキングピンクの豹柄のラブチェアに詰まるように並んで座った。
「さっき、大家さんに謝られた」
 慶次の頭を胸に抱いて小十郎が言った。
「…ごめんな。俺が言えば良かったんだよな」
 小十郎の胸で慶次が頭を振る。
「……俺…小十郎さん……」
 新しい涙が湧いてきて、慶次しゃべれなくなる。
 じゅう、とほ乳壜の吸い口が戻る音がして、子猫の泣き声が寝息に変わった。ペットボトルをやめて保温マットを敷いたケージの中に子猫を戻すと、小十郎の腕が慶次を抱き締めた。
「仕方ない事だってある……人も、猫も……物にだって寿命って奴はあるんだ」
 慶次の腕が小十郎の胸に縋って、泣き声を我慢する。
「…病気でもねぇし…怪我でもねぇ……寿命って奴が連れてっちまう……」
「こじゅ…ご…ごめ…ね……おれが……」
 嗚咽に邪魔されて上手くしゃべれない。
「猫…飼いたいって言って………ごめんなさい………」
 必死に嗚咽を抑えて慶次が言った。小十郎の胸に抱きついて、恐くて顔は上げられない。
「ばかだな…謝るなよ」
「だって……」
 小十郎の手が慶次の頭を撫でる。子猫にしていたように、子猫にしていたのより優しく。
「俺……小十郎さんに我が儘ばっかり言って……いろんな事……言う事聞いてもらって……なのに……」
「お前は我が儘なんか言ってねぇよ。……言う事聞くのは……お前に嫌われたく無いからだよ、俺が」
 慶次、そっと目を上げて小十郎の顔を見た。
 ……小十郎さん…今、なんて言った…?………
「お前に愛想つかされないように、おっさんも必死なんだよ」
 照れくさそうに小十郎が笑った。
「小十郎さぁん……大好きー!!」
 大声で叫んで抱きついた慶次に、子猫が起きだしてにぃにぃと鳴き始めた。
「ばか……お母さんだろ?ゆきとはるがびっくりしてるぞ」
 ……だって……きっと『その時』も小十郎さんは泣かなかったんだもん………
「すきぃ……小十郎さぁん……」
「俺もだよ。俺も、お前の事が好きだよ」
 小十郎に言われて、慶次増々涙が止まらなくなった。

 失った愛しい者がいる。
 一生涯、その相手に殉ずる人もあるかも知れない。
 ……けれど、逝ってしまった人はそれを望むのだろうか。
 愛しあったものならば、自分のいない世界で悲しむ残された者を哀れに思わないだろうか……。
 小十郎、そっと慶次の額にキスした。
 ……逝ったもんが何を思うか…俺は知らねぇ…今は何もしてやれねぇしな………
 慶次の手が、小十郎の頬に手をあてて、唇を探しながら口付ける。

 ………そっちに行ったら……ちゃんと、謝るから…………
 小十郎、腕の中に幸せの欠片を閉じ込める。
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