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ゲーム系ニ次創作です
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↓チカダテです。
 逆鱗の後のお話です。

 政宗の寝所に、二組の布団がある。
「…なぁ……そっち…」
「Shut up……明日は早ーんだよ」
 政宗の寝所で休むようになった元親だが、一緒の寝間になってからの方が、床を共にする事が少なくなった。
 ……なんだよ、俺に飽きたのか…?………捕らわれて、怪我が癒えてからは毎晩政宗が元親の寝所を訪れていた。身を合わせない日は無いくらいだったが……、政宗の過去の痛みを知って、相愛になってからは急に政宗が淡白になった。
 背を向けて眠ってしまった政宗を眺めながら、元親溜息を吐いた。……俺は猿かよ………掻巻に包まれた政宗の肩を、今も腕に抱き締めたくて仕方ない。
「……物欲しそうに見るんじゃねーよ」
 暗がりで、背中を向けていても元親の視線を感じたらしく、政宗がごそごそと動いて元親の布団の中に入った。
「cradlesongはねーからな」
 元親の腕に頭を乗せると、政宗そのまま目を閉じた。
 ……生殺しかよ………それでも、腕の中の体温は心地よい。元親も目を閉じた。


 漠然とではあるが、自分は暖かい所で生まれ育った海の男なのだなと……そう、思う事がある。
 政宗の国に暮らすようになって、それは強くなった。雪国の男達は、どれほど剛胆を言っても、繊細な所がある。そして、用心深い。
 一見すると侠客のような政宗の家臣達もそうだ。
 柄の悪く見える者達だが、元親が政宗と割り無い仲になってからは、態度も改めて客分以上に扱うようになった。小十郎からしてが、そのように扱うのだから他の者達も従わざるをえないような所があるが、それほど不服にも思っていないようだ。

 ……わかんねぇな………居心地が良いのが、居心地が悪い。

 政宗もそうだ。
 元親に肌を晒す事さえ出来なかった時には、睦合うと言うよりも貪るように元親を求めたが、今は手を繋ぐのさえ人前ではしなくなった。一度、小十郎の前で肩を抱いただけで肘鉄を喰らった。以前は小十郎がいても何も構わなかったのにだ。……間夫といちゃついてる姿を見せられるか………政宗の言い分は、夫婦のように暮らす元親と人前で睦まじ気にするのが恥ずかしいと言うものだった。間夫と呼ばれたのは嬉しいが、元親には納得出来ない。かえって、人目を気にしなくても良くなったと思っていたのだ。ただの客分では無くて、『政宗の間夫』の方が人目を気にしなければならないとは思っていなかった。

 ………わかんねぇ………雪国の男は難しい。

 そして、何よりも……海が恋しかった。夢に見るほど潮風が恋しかった。
 長曽我部元親、海の男である。
 波に揺られて眠りに着かなくなってどれほどになるか………海に呼ばれている。
 政宗が出掛けて行ってから、一人座敷にごろりと横になっていた元親立ち上がった。
 明り取りの障子を開けても……ここから、海は見えなかった。海の方角に向いて息を吸い込んでみる。勿論潮風などない。
 陸での戦に自信が無い訳ではない。

 ………せめて、戦がありゃ………仮初めかも知れないが、現在は表立った戦乱もない。

 目を細めて遠くを見る。山に阻まれて海は見えないが、元親を呼ぶ海の気配はどこにいてもわかるのだ。
 ………潮風が…呼んでる…………
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