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拍手下さった方、ありがとうございます!
↓チカ海に帰る……。
だって、アニキは海の男だから………
↓チカ海に帰る……。
だって、アニキは海の男だから………
明り取りから海の方角を見ている元親に、下から声がかけられた。
「アニキー!!」
三階から見下ろすと、元親の配下の者達が見上げていた。
「アニキ!ご無事だったんすね!」
元親が政宗に捕らわれて、元親の配下の者達は散り散りになってしまったのだと思っていた。
「おめーらこそ、無事だったのかよ!」
気掛かりではいたが、済し崩しに政宗と割りない仲になってしまった元親、自分の配下の事は言い出せずにいた。
城の庭にいる大勢の長曽我部軍が歓声を上げた。
伊達に捕らわれた元親の兵達も元親の身を案じていた。誰にも負ける事はないと思っていた自分達の頭が、足蹴にされる様を見て、意気消沈して大人しく捕らわれたが、機会を窺って元親を助けだせる道はないかと、皆思いは同じだった。
「アニキ!危ないっすよ!」
明り取りから身を乗り出した元親に、庭にいる者達が慌てるが元親構わずに足をかけて飛び降りた。
「アニキー!!」
三階の高さをものともせずに飛び降りた元親を、配下の者達が受け止めた。
「良く顔見せろ!」
自分を取り巻く者達の顔を、一人一人確かめて元親が労いの言葉をかける。
「片倉さんに言われて船の整備にも行ってきやした」
「そうっすよ、アニキ。いつでも船に乗れやすよ!」
その言葉に元親も疼く思いがした。
先日政宗と船を見には行ったが、二人きりの事、雨にも降られて船の中を案内する事も出来なかった。
「…今日は政宗も帰らなねーかもしんねぇしな……行ってみるか」
大喜びする配下の者達に囲まれて、元親久しぶりの昂揚を覚える。
海を離れて暮らす。元親にはなかった事だった。
……海が呼んでいる………元親の中に沸き起こる感情は、呼ばれているとしか言い様のないものだった。
ここでの暮らしに不服がある訳ではない。勿論政宗の側を離れる事は考えられない。意地っ張りで可愛らしいあの男と、今更離れて暮らす事は考えられないのだ。……だが、海は元親を呼んでいる。元親の身体の中にも小さな海があって…それが海原に呼ばれるような感覚なのだ。
海は、元親自身でもあるのだ。
政宗も小十郎も出掛けている。城内の者に伝えておけば構わないだろうと、元親言伝を頼んで城を出た。
久しぶりの自分の配下。久しぶりの船。……久しぶりの海。
元親の中に、以前の暮らしが蘇る。
決して伊達にいる事が不自由ではない。政宗の配下の者達も小十郎をはじめとして元親にはよくしてくれている。不足はなかった。
……潮の匂いがしやがる………
海に近付くごとに、元親の血が騒ぐ。
それは、本当にただ呼ばれているとしか言い様のないもの。
「アニキ、帆を上げますよ」
船が肉眼に見えるようになって、幾人か先乗りに船にいる人影に気付く。
紅い帆がはためいて……陽光を弾き返す波間の輝きを映した。
………ここは…俺の家なんだな…………
元親、馬の腹を蹴って船を目指す。
青い波間に揺れる元親の船。海がなければ船はただの箱だ。元親も船と同じ事。
……船は…波に乗ってなきゃ屍だな………
「アニキー!!」
三階から見下ろすと、元親の配下の者達が見上げていた。
「アニキ!ご無事だったんすね!」
元親が政宗に捕らわれて、元親の配下の者達は散り散りになってしまったのだと思っていた。
「おめーらこそ、無事だったのかよ!」
気掛かりではいたが、済し崩しに政宗と割りない仲になってしまった元親、自分の配下の事は言い出せずにいた。
城の庭にいる大勢の長曽我部軍が歓声を上げた。
伊達に捕らわれた元親の兵達も元親の身を案じていた。誰にも負ける事はないと思っていた自分達の頭が、足蹴にされる様を見て、意気消沈して大人しく捕らわれたが、機会を窺って元親を助けだせる道はないかと、皆思いは同じだった。
「アニキ!危ないっすよ!」
明り取りから身を乗り出した元親に、庭にいる者達が慌てるが元親構わずに足をかけて飛び降りた。
「アニキー!!」
三階の高さをものともせずに飛び降りた元親を、配下の者達が受け止めた。
「良く顔見せろ!」
自分を取り巻く者達の顔を、一人一人確かめて元親が労いの言葉をかける。
「片倉さんに言われて船の整備にも行ってきやした」
「そうっすよ、アニキ。いつでも船に乗れやすよ!」
その言葉に元親も疼く思いがした。
先日政宗と船を見には行ったが、二人きりの事、雨にも降られて船の中を案内する事も出来なかった。
「…今日は政宗も帰らなねーかもしんねぇしな……行ってみるか」
大喜びする配下の者達に囲まれて、元親久しぶりの昂揚を覚える。
海を離れて暮らす。元親にはなかった事だった。
……海が呼んでいる………元親の中に沸き起こる感情は、呼ばれているとしか言い様のないものだった。
ここでの暮らしに不服がある訳ではない。勿論政宗の側を離れる事は考えられない。意地っ張りで可愛らしいあの男と、今更離れて暮らす事は考えられないのだ。……だが、海は元親を呼んでいる。元親の身体の中にも小さな海があって…それが海原に呼ばれるような感覚なのだ。
海は、元親自身でもあるのだ。
政宗も小十郎も出掛けている。城内の者に伝えておけば構わないだろうと、元親言伝を頼んで城を出た。
久しぶりの自分の配下。久しぶりの船。……久しぶりの海。
元親の中に、以前の暮らしが蘇る。
決して伊達にいる事が不自由ではない。政宗の配下の者達も小十郎をはじめとして元親にはよくしてくれている。不足はなかった。
……潮の匂いがしやがる………
海に近付くごとに、元親の血が騒ぐ。
それは、本当にただ呼ばれているとしか言い様のないもの。
「アニキ、帆を上げますよ」
船が肉眼に見えるようになって、幾人か先乗りに船にいる人影に気付く。
紅い帆がはためいて……陽光を弾き返す波間の輝きを映した。
………ここは…俺の家なんだな…………
元親、馬の腹を蹴って船を目指す。
青い波間に揺れる元親の船。海がなければ船はただの箱だ。元親も船と同じ事。
……船は…波に乗ってなきゃ屍だな………
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