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ゲーム系ニ次創作です
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拍手下さった方、ありがとうございます!


↓チカダテです。
 ちょっと、臆病さん同士……

 元親の帰りは遅くなった。久しぶりに船に乗った事も、潮風にあたった事も、元親を昂揚させていた。
 政宗の城に戻ってみると、帰らないと思っていた政宗が先に戻っていた。
「なんだよ、prsentがあるのに遅いじゃねーか」
「あ?何があるか知らね−けど……俺はあんたの方がいい」
 ここは政宗の居室だから、元親も憚る事なく政宗を抱き締める。
「海に行って来たのか?」
 元親の胸に抱かれて、政宗が鼻を動かした。
「ああ、…その……ありがとうよ……子分どもの事…」
 政宗の髪を掻き分けて、耳朶を噛むように礼を言う。くすぐったいのか、くすくすと笑う政宗の腕が元親の頭を撫でる。
「あんなごつい船は、俺と二人だけじゃ扱えねーだろ?」
 元親を抱き返しながら政宗が口の端を上げる。
「俺を船に乗せてくれるんだろ?」
「ああ……あんたを俺の船に乗せてぇ……」
 本当は……攫っていってしまいたい……奥州を治める政宗では無く……自分一人の政宗にしてしまいたい。だが、元親それは口に出来ない。それは、政宗も武将であるから……。しかも、政宗に敗れた自分がその政宗を守りたいとは言えない。
 いつか……政宗を打負かしたい………。従わせる為では無くて、自分の手で守る為に………。
 政宗が元親の髪に鼻を埋めて息を吸い込んだ。
「…smell sweet………」
 腕の中にいるのは……どんなに艶やかに見えようとも、竜なのだ。元親、それは始めから分かっていた事だったが……、自分がどうすればいいのか判らない。相手が女であれば、守り慈しむ事で自分の愛情を伝える事が出来る。男を好きになった事のなかった元親、政宗にどうやって自分の気持ちを伝えたらいいのか判らない。好きだとは言った、放したく無いとも言った……だが、それがどれだけ政宗に伝わっているのか不安になる。元親の眼前に全てを曝け出してくれた政宗……。その政宗を、掛け替えない宝玉のように思った自分の気持ちは、政宗に伝わっているのだろうか………。
「そうだ、presentだぜ」
 政宗の衣を剥ごうとしている元親の手を抑えて、政宗が図面を取り出した。
 ……またかよ………元親、ずっとはぐらかされている。元親が政宗を求めようとすると、政宗は元親の気に入りそうなものを差し出して自分から興味を失わせるような事をする。
「……唐の船か…?」
 そして、今回も元親の負けだった。政宗が土産と渡したのは、唐の船の設計図だった。
「竜骨構造だな……」
「前に言ってただろう?和船は唐の船と違って向かい風には櫓を漕がなけりゃ進まねぇって」
 元親、図面を拡げて詳細を見る。かなり大きな船になりそうだ。
「……欲しくねぇか?こんな船が」
「欲しいに決まってるじゃねーか。………こりゃ、随分と船足が速そうだぜ」
 図面に夢中になり始めた元親の横顔を、政宗満足そうに眺める。元親が、政宗に抱くのと同じ不安が政宗にもある。あまりに元親を求め過ぎて呆れられてはいないか……、元親を捕らえてすぐの頃は、とにかく形が欲しかったのだ。自分の身の内に果てる元親を感じる事でしか、政宗安堵は無かった。身をもって虜に出来るくらいならば、そうしたい……。以前に政宗が囲った者達は政宗のその愛情に堪えられなくなったのだ。誰にも会わせず、政宗だけを求めて欲しいと強請るのも、初めのうちは皆のぼせ上がってしまう。眼帯を差し引いても、美貌の政宗である。そして奥州筆頭。顔も良くて地位もある政宗が身も世も無く自分を求めて来ると思えば、のぼせ上がるなと言うのが無理である。けれど、皆慣れてしまうのだ。慣れて来れば、毎日のように自分が欲しいかと確認して来るような政宗の愛情は重い。
「造ってみるか?」
 事も無げに言った政宗に、元親が目を剥いた。
「おっ…え……いいのかよ」
「独眼竜を乗せる船だ。半端なもん造ったら承知しねーぞ」
 ……船が出来上がるまでは………大喜びで政宗を抱き締める元親の胸の中で、政宗思う。船が出来るまでは元親を手放さなくていい………。
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