拍手にコメントくださった方、ありがとうございます！


4/19『！！手を振り合う政宗～』とコメントくださった方＊ありがとうございます！小十郎の強面がこういうことすると可愛いですよね～。政宗も新し物好きなので、船旅とかではしゃいじゃったら、かわいいｖそうです。はんべ先生のお気に入りはもちろんそうです（笑）そのうちおしおき先生の番外か、拍手の入れ替えで書こうと思ってます（＾＾）よろしかったら、またお付き合いくださいませねｖｖ


↓チカダテです。
　ハネムーン風……

　どこまでも青い空。海は凪いで船は穏やかな揺れを繰り返している。
　……心地よいはずの甲板で、政宗大の字になって倒れ込んでいた。
「どうした？ちったぁ良くなったか？」
　元親が覗き込んだ政宗の顔は真っ青だった。
「……ぅぐ……」
　起き上がろうとした政宗だが、口許を押えて身を折った。
「急に動くなよ」
　背を摩ろうとする元親の手を解いて、政宗が艫に縋って嘔吐した。
　船とは言っても、川遊びの船くらいに思っていた政宗、入り海を出ると急に目が回り始めた。真っ直ぐに立っていられなくなり、冷や汗が噴出し、櫓に入って休んでいたのだがどうにも身の置き所が無い。
　もう、吐くものが無くなっているが、喉が裏返りそうになるほどの嘔吐感は治まらない。
「大丈夫か？」
「…大丈夫に見えるか？」
　垣立越しに海を見ると、増々気分が悪くなってくる。
「まぁ…慣れるしかねぇけどな」
　余裕のある元親の態度にも腹が立つ。一日中吐き続けているので、元親を殴る気力は無いが恨みがましい目は向けた。
「そんな顔して見んなよ。俺も色々我慢してんだから」
「ば…Bull sit!!……ゲロ塗れの野郎に欲情すんのか！とんだsexual perversionだな！！」
「いや…ゲロとかじゃなくて…弱そうって言うか…頼りなげって言うか……なんか、色っぽいんだよあんた」
　惚気のように言う元親に政宗脱力した。
「…揺れてても気になんない事する…？」
　よろけた政宗を支えた元親が、政宗を腕の中に囲った。
「サル野郎！サカルんじゃねーよ！」
　肘を打ち込もうとするが、やはり力の入らない政宗の様子に元親目を細める。何か…そう、なんでもいいのだ。政宗に勝つものがあれば……。元親にとって、政宗に負けて捕虜となったことは大きな影となって胸の内に残っている。それで仇を為そうととは思っていないのだが、政宗とまずは対等になりたい。現在の元親は政宗に庇護されているようなものだ。降将とは名ばかり、領内を自由に歩き回る事も出来るし、以前の配下の者たちも戻してもらった。あまつさえ、新しい船まで造って貰っているのだ。
「じゃぁ……おまじない」
　元親が懐から手拭を出して、それを二つに裂いた。
「おまじないってなんだよ」
　訝しむ政宗の手を取った元親、手拭に結び目を作って、それを政宗のほっそりとした手首の内側に当てて巻きつけた。
「船酔いの治るツボがあるんだよ」
　両手首にそれぞれ手拭を巻きつけて、満足げに元親が言う。
「櫓には入るなよ。出来るだけ遠くを見てた方がいいんだ」
　政宗の体を支えて、元親が指差した先には水平線しかなかった。振り返って見ると、霞が掛かったように陸地が遠く見える。
　波頭は日差しを受けてきらきらと輝いているが。青く、ただ青く広がる海原。
　政宗の背を支える元親の腕が、頼もしく心地よい。
「俺がいないと……ダメになっちゃえ……」
　肩を抱いた元親が政宗の耳元に囁く。
「ああん？」
　自分を包み込む暖かい元親。
「だからさ……他の誰かじゃなくて……俺がいないと生きられないようになっちゃえよ」
　……もう、疾うにそうなっている……そう言ったら、この男はどんな顔をするのだろう………
「そっちこそ、俺以外じゃ満足出来ねーだろ？」
　背を抱いて肩にのった元親の頭を、政宗の手が叩いた。
「ああ、あんた以外には熱くならねーよ」
　元親が言う。……元親は隠さない。政宗に首っ丈だと、誰にも憚ることなく言ってのける。政宗にはこれが羨ましくもあり、…恐くもあるのだ。元親が政宗に興味を失ったら……その時もはっきりと『いらない』と言われるのだろうか………

　臆病で、惨めな自分。
　政宗が向き合わずに隠してきた自分が、政宗自身を苛む。
　……てめぇで、乗り越えなくちゃいけねぇんだけどな………
　緩く吹き付ける風になぶられながら、元親の腕にそっと手を重ねてみる。
　……あったけぇ………