拍手にコメントくださった方、ありがとうございます！


5/1『海のように広い心～』とコメントくださった方＊ありがとうございます！私、チカアニキに夢見すぎかもなのですが……チカ、かっこいいですよね（＾＾）BASARA政宗は意地っ張りさんのイメージなので、大らかな雰囲気のアニキに癒されちゃうんじゃないかと思って書いてましたｖハッピーエンド好きなので、政宗が淋しいままになるのはいやなのです（笑）こんな甘味処ですが、よろしかったらまたお付き合いくださいませｖｖ


↓半慶です。
　はんべ氏が意外と優しい感じです。

　慶次が学校から帰ると、玄関に見覚えのある靴があった。嫌味なほど磨かれたスリップオン。これは慶次が高校受験の時には毎週ここにあった靴だ。
「あら、慶次帰ったの？お部屋に竹中君が来ていますよ」
　叔母のまつに言われるまでもなく、靴を見た瞬間から、慶次には解っていた。
　慶次の通う高校の生物教師竹中半兵衛は、慶次の以前の家庭教師だ。慶次が中学生の頃、まだ学生だった半兵衛がアルバイトで家庭教師に来ていたのだ。
「うん…」
「竹中君も久しぶりだから、ご飯食べて行ってって言っておいてね」
　家庭教師時代から慶次は竹中に懐いていたので、気を利かせたまつがそう言ったが、慶次の表情はどこか暗かった。

　部屋の前に立つと、ドアは閉まっているが……中にいる竹中の発する恐ろしいような気がドアの外にも流れ出している。
「……」
　…怒ってる……慶次にも竹中が何に怒っているかくらいは解る。先日、政宗に『お仕置き』と称して色々されてしまったのを、何故か竹中は知っているのだ。
「慶次君。いつまでそこにいるつもりだい？」
　部屋の中から声を掛けられて、慶次も仕方なくドアを開けた。
「…何しに来たの？」
　政宗との事があってから、学校でも慶次は竹中を避けていた。
「今週は僕の所に来なかったよね」
　慶次の机に座っている竹中が、ドアの前で固まっている慶次を見た。見かけは優しげだが、竹中を怒らせると恐い事は慶次もよく知っている。
「…受験の相談とかあったから……」
　竹中は教師、慶次は担任ではないが生徒。学校ではなるべく会わないようにして、毎週慶次が竹中の家を訪ねていた。
「担任でもない伊達先生と？」
　……やっぱり…何故知っているかは、問題ではない。竹中に知られてしまった事が、慶次にはショックだった。
「だって……英語の……」
　もう知られていても何かいい訳をしようと考える慶次だが、竹中を誤魔化せるとは思えなかった。
　しどろもどろにいい訳をする慶次をしばらく見ていた竹中だが、突っ立ったままの慶次のネクタイを引き寄せた。
「…君は馬鹿だ馬鹿だと思っていたが……これほどとはね」
「酷いよ！そりゃ、はんべみたいに頭良くないかも知れないけど、俺だってがんばってるのに！」
　涙目で怒鳴る慶次の頭を、竹中の手がぽんと叩くとくしゃくしゃにかき回した。
「毎週逢ってる僕に相談すればいいじゃないか。伊達先生だって担任じゃないだろう」
「だって…だって……はんべの家で逢うのは竹中先生じゃやなんだもん……」
　大きな体を縮めるようにして竹中を見る慶次の目に、思わず竹中の表情も緩んでしまった。
「…学校では竹中先生じゃん……俺が会いたいのは、竹中先生じゃなくてはんべなんだもん……」
　慶次にここまで言われては、竹中もいつまでも怒っていられない。慶次の髪をかき混ぜていた手で頭を引き寄せると、潤んでいる目許に唇を寄せた。
「はんべ……」
「僕が平気でいると思った？」
「……ごめんなさい」
　こんなに簡単に謝られて、竹中も毒気が抜かれてしまった。
　胸に寄せられた慶次の髪に口付けて、ほんのりと赤くなっている耳にも口付けて、竹中が制服のブレザーに手を掛けると、
「あ…あのね、まつ姉ちゃんがご飯食べてって、言ってたから…」
　その手を止めるように慶次に言われた。
「僕が今食べたいのは、ご飯だと思う？」
　間近でにっこりと微笑む竹中に、慶次がぼんやり見惚れた。
「僕が食べたいのは…慶次君なんだけど……だめ？」
　こんな風に聞かれたら、慶次は頭を振るしかない。学校で会わないようにしているのも、顔を見れば我慢が効かなくなってしまう自分を戒めての事だ。
「いいよ……食べて…」
　頬を赤らめて目を閉じる慶次を見ながら、こんなところが可愛いと思う竹中だが……この流され易さは、後で『教育』しなければと思う。